こんにちは。フラワーコーディネーターの藤森彩花です。

鎌倉の自宅の庭で季節の花を摘んで飾るのが、私の毎日のささやかな楽しみです。ふと庭に目をやると、冬の寒さの中にも春の気配が感じられるようになりましたね。皆さまのお住まいの地域では、いかがでしょうか。

「お花のある暮らし」と聞くと、少し特別なことに感じるかもしれません。でも、私はもっと気軽に、例えばお仕事帰りにスーパーで野菜を買うような感覚で、暮らしの中に花を取り入れてみてほしいなと思っています。

スーパーのお花は、手軽に手に入るのが魅力ですよね。でも、「せっかく買ったのに、すぐに枯れてしまってがっかり…」なんて経験はありませんか?実は、私もフラワーコーディネーターになる前は、同じような失敗を繰り返していました。

でも、大丈夫。ほんの少しのコツを知るだけで、誰でも簡単に、いきいきとした新鮮なお花を見分けられるようになるんです。この記事では、元生花店勤務の経験と、現在主宰しているフラワーアレンジメント教室でお伝えしている知識を基に、スーパーで失敗しないお花の選び方と、鮮度をチェックするための7つのポイントを、分かりやすくお伝えします。この記事を読み終える頃には、きっとあなたも「宝探し」をするようなワクワクした気持ちで、お花を選べるようになっているはずですよ。

なぜスーパーの花は「当たり外れ」があるの?

「どうしてスーパーのお花は、お花屋さんのものと比べて当たり外れがあるように感じるのかしら?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

スーパーで売られているお花の多くは、全国の生産者さんから市場に集められ、そこから各店舗へと届けられます。お花屋さんと同じルートを辿ることも多いのですが、一番の違いは「お花の専門家が常にいるかどうか」という点にあります。

お花屋さんには、専門の知識を持ったスタッフがいて、お花の種類や状態に合わせて、こまめにお手入れをしています。一方、スーパーマーケットでは、他のお野菜や食品と同じように商品として陳列されるため、どうしても一括での管理になりがちです。特に、お花の扱いに慣れた専門のスタッフがいない場合は、鮮度管理に差が出てしまうことがあるのです。

でも、これは決してスーパーのお花が良くない、ということではありません。むしろ、私たち消費者にとっては、生産者さんが大切に育てたお花に、とても身近な場所で出会える素晴らしい機会です。流通の仕組みを少しだけ知っておくと、なぜ鮮度の見極めが大切なのかが分かり、より納得してお花選びができるようになりますよ。

それに、たくさんの花束の中から「これは新鮮!」という一品を見つけ出すのは、まるで宝探しのようで、とても楽しいもの。これからお伝えするポイントを押さえれば、あなたもきっと、その楽しさを実感できるはずです。

これだけは押さえたい!鮮度チェック7項目

それでは、いよいよ具体的な鮮度チェックのポイントを見ていきましょう。お野菜を選ぶとき、葉がシャキッとしているか、皮にハリがあるかを見ますよね。お花もそれと全く同じです。難しく考えずに、7つのポイントを一緒に確認していきましょう。

チェック項目確認するポイント見分け方のコツ
1. 花びらハリとツヤがあるか、みずみずしいか指でそっと触れるのではなく、目で見て確認します。しわが寄っていたり、元気がなく見えたりするものは避けましょう。
2. 葉緑色が濃く、生き生きとしているか葉先までピンと張っているのが新鮮な証拠。黄色く変色していたり、黒い斑点があったり、しおれていたりするものは避けましょう。
3. 茎の切り口明るい緑色で、ぬめりがないか切り口が茶色や黒に変色しているものは、水の中で雑菌が繁殖している可能性があります。ぬるっとしているものも同様です。
4. 茎全体硬く、しっかりとしているか茎が柔らかく、曲げると簡単にしなってしまうものは、水をうまく吸い上げられていない可能性があります。
5. ガク(特にバラなど)しっかりと花びらを支えているか花びらの根元にある緑色の部分「ガク」が、下向きに垂れ下がっているものは、開花してから時間が経っているサインです。
6. つぼみ固すぎず、少し膨らんでいるか全てが固いつぼみだと咲かずに終わってしまうことも。少し色づき、ふっくらとしているつぼみが含まれている花束が理想的です。
7. 全体の清潔感異臭や虫食い、カビなどがないか束ねてある部分や水に浸かっていた部分から不快な臭いがしないか、葉に虫食いの跡がないかなども確認しましょう。

特に大切なのは、「切り口→茎→葉」の順番で見ていくことです。お花の顔の美しさだけに惹かれてしまうと、実は鮮度が落ちている、なんてことも。まずは、植物が水を吸い上げるための大切な部分からチェックする癖をつけると、失敗がぐっと減りますよ。

【種類別】もう少し詳しく!見分け方のコツ

7つの基本ポイントに加えて、スーパーでよく見かけるお花の種類別に、もう少し詳しい見分け方のコツをお伝えしますね。

バラ

「花の女王」とも呼ばれるバラは、ガクの状態が鮮度を見分ける一番のポイントです。新鮮なバラは、ガクが上向きにピンと張り、花びらをしっかりと支えています。逆に、ガクが下向きにだらりと垂れ下がっているものは、開花から時間が経っている証拠です。

ガーベラ

明るい色が人気のガーベラは、茎が空洞で折れやすいため、扱いには少し注意が必要です。花びらの根元、茎との接合部分が変色していないかを確認しましょう。また、茎がぬるっとしていないかも大切なチェックポイントです。

ユリ

豪華で香り高いユリは、つぼみの状態で売られていることが多いですね。つぼみが固すぎず、少し膨らんで色づいているものを選びましょう。すでに咲いている花がある場合は、花粉が葯(やく)からたくさんこぼれ落ちていないかを確認します。花粉がたくさん落ちているものは、開花してから時間が経っています。

菊(マム)

長持ちすることで知られる菊ですが、やはり鮮度は大切です。葉が黄色くなっていたり、しおれたりしていないか、葉の状態をよく観察しましょう。花びらが密集しているので、中心部が蒸れて変色していないかも確認できると良いですね。

カーネーション

母の日の贈り物としておなじみのカーネーションも、スーパーでよく見かけるお花の一つです。花びらの縁が乾燥してチリチリになっていないか、ガクが裂けたり割れたりしていないかを確認しましょう。つぼみも適度に膨らんでいるものが、きれいに咲いてくれます。

ちなみに、農林水産省の統計によると、日本で最も多く生産されている切り花は菊、次いでカーネーション、そしてバラと続きます(2022年時点)。こうした情報も、お花選びの際のちょっとした豆知識として知っておくと面白いかもしれませんね。詳しくは農林水産省のウェブサイト「花きをめぐる情勢」なども参考になりますよ。

買ってきた花を、もっと長持ちさせる魔法

さて、新鮮なお花を選べたら、次はその美しさを一日でも長く保つための「魔法」をかけてあげましょう。といっても、決して難しいことではありません。ほんの少しの手間をかけるだけで、お花の持ちは格段に良くなります。

1. まずは優しく包装を解いて

家に帰ったら、まずは花束を包んでいるセロハンや輪ゴムを優しく外してあげましょう。窮屈な状態から解放してあげることで、お花がのびのびと呼吸できるようになります。

2. 水の中で茎を切る「水切り」

これが一番大切なポイントです。バケツや深めのお皿に水を張り、その水の中で茎の先端を1〜2cmほど斜めにカットします。これを「水切り」と言います。水中で茎を切ることで、切り口から空気が入るのを防ぎ、お花が水を吸い上げやすくなるのです。切れ味の良い清潔なハサミを使うのがコツですよ。

3. 不要な葉を取り除く

花瓶の水に浸かってしまう部分の葉は、すべて取り除きましょう。葉が水に浸かったままだと、そこからバクテリアが繁殖し、水が汚れてお花が傷む原因になってしまいます。

4. 清潔な花瓶に活ける

きれいに洗った花瓶に、新鮮な水を入れ、お花を活けます。この時、もしあれば市販の「切り花延命剤」を使うと、バクテリアの繁殖を抑え、お花に栄養を与えてくれるので、さらに長持ちします。

毎日のお手入れ

  • 水替え: できれば毎日、少なくとも2日に1回は花瓶の水を替えましょう。その際、花瓶の内側もきれいに洗うと、より清潔に保てます。
  • 置き場所: 直射日光やエアコンの風が直接当たる場所は避け、涼しい場所に飾ってあげましょう。人間が快適だと感じる場所は、お花にとっても快適な場所です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。スーパーでのお花選びも、いくつかのポイントを知るだけで、失敗なく、そしてもっと楽しくなることがお分かりいただけたかと思います。

【鮮度チェック7項目】

  1. 花びらのハリとツヤ
  2. 葉の生き生きとした緑色
  3. 茎の切り口のきれいさ
  4. 茎全体の硬さ
  5. ガクの状態
  6. つぼみの膨らみ具合
  7. 全体の清潔感

これらのポイントを思い出しながら、ぜひ次のお買い物の際に「宝探し」に挑戦してみてください。そして、家に連れて帰ったお花には、少しだけ長持ちの魔法をかけてあげてくださいね。

「花のある暮らし」は、決して特別なことではありません。まずは一輪、お気に入りの花をテーブルに飾ることから始めてみませんか?その一輪が、あなたの日常に彩りと、ささやかな幸せを運んできてくれるはずです。あなたのお気に入りの一輪が見つかることを、心から願っています。