【開催レポート】(10/4) 文京ミ・ラ・イ対話「仲間の見つけ方、広げ方を考えよう 」~つながる、生み出す、みんなのコミュニティデザイン~


10月4日、文京区大塚の跡見学園女子大学にて、今年度の文京ミ・ラ・イ対話の第5弾となる、「仲間の見つけ方、広げ方を考えよう ~つながる、生み出す、みんなのコミュニティデザイン~」を開催しました。

第1部「仲間の見つけ方 広げ方には方法がある!」では、跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部コミュニティデザイン学科の南里隆宏先生から、これまでの先生の取り組みからソーシャルイノベーションになぜNPOが必要なのかというお話をいただきました。コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン代表の鎌田さんからは、共感を広げるコツとして現在活動されているコミュニティオーガナイジングの取り組みについてお話いただきました。

第2部では、実際にコミュニティオーガナイジングのスキームについて簡単に学び、参加者全員で実際に「ストーリーオブセルフ」のパートを体験してみました。

第3部では、その体験等を踏まえ、自分たちが、地域でつながりを生むために地域でできることについて考える対話をしました。当日は、区内外から42人の参加がありました。

◇イントロダクション

イントロダクションとして、テーブルごとに自己紹介をしながら「地域の仲間づくり(見つけ方、広げ方、続け方)は何が難しい?」について、黄色の付箋に書いて発表し合いました。参加者から挙げられた課題は以下の通りです。

■きっかけがない
・地域活動はそもそも何から始めればよいのか

■仲間との出会いの場がない
・ネットワークのつながり方が問題
・同じテーマで興味を持っている人と出会えない
・人を集めるにはをどうしたらよいのか
・職場以外で、人と出会う機会が欲しい
・同じ課題を持っている人がつながるにはどうしたらよいか

■時間の問題

・活動をする時間がない
・時間が合わず、ほとんど地域の方と出会えない

■情報の共有の仕方
・情報をどこに発信してよいかわからない
・出会う情報と場所が課題
・どうしたら参加してみたいと思ってもらえるのかわからない

■その他

・多様な価値観がある

・若い人との出会いが少ない

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第1部  仲間の見つけ方 広げ方には方法がある!

1.ゲストトーク  「国境や世代を超えて人がつながる装置としてのNPO・NGO」 跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部コミュニティデザイン学科准教授 南里隆宏さん

南里先生は、長年にわたり国際協力を行う日本財団でご活動されており、現在もその支援者、研究者として関わっているという立場から、NGOやNPOなどの非営利組織の果たす役割などについてお話いただきました。

 非営利組織は、利益ではなくミッション(使命)を実現するために存在

わが国には、NPO法人が、5万団体、法人格のない非営利組織は8万団体以上あるといわれており、多くの分野で活動しています。その活動は、利益を追求するのではなく、各団体の掲げるミッションを実現することがその存在意義となっています。Salamonが挙げた5つの構造的機能として、「組織であること」「民間であること」「自己統治ができていること」「有志による活動であること」「非営利であること」があるとご紹介いただきました。 そして、NPOや日々の活動の中で忘れがちではあるが、これらの団体の最終的な目的の一つは、社会変革を起こすことであると先生はお考えになっています。

成果がでている要因の一つは、中立的な立場として各種のセクターをつなぐことができるため

社会変革を起こせた例として、先生が関わってらっしゃる日本財団の一つの活動であるハンセン病患者の支援についてお話いただきました。 ハンセン病は、日本では過去の病とされていますが、まだ、世界にはこの病に苦しむ人が多くいます。病気自体は医学の進歩により治療できるようになりましたが、この病気に対する差別や病気に対する誤った認識が、撲滅への阻害要因となっているのが実情です。そういった中で、日本財団では2010年の国連人権理事会で「ハンセン病差別撤廃」決議が採択されるなど、成果を挙げています。 民間の一団体である日本財団の活動が、国連などの国際組織を動かすまで、つまりソーシャルイノベーションを起こした理由には、「政治的機会」「受益者からの支持」「組織資源」「争点化、動員能力」がその理由とされています。特に、民間だからこそできた各セクターとのつながり、つまり「組織資源」を「戦略的に活用した(争点化、動員能力した)」ためと分析されています。 また、民間だからこそ、支援者だけでなく、政治的な対立を超えて政府機関の支持を得たり、この活動の受益者(ハンセン病回復者)などとつながれたことも、大きな役割を果たしているとのことです。

非営利セクターは、人と人が国境や世代を超えてつながる場や機会を提供している

非営利セクターの強みは、民間であり非営利だからこそできる、人と人が国境や世代を超えてつながる場や機会を提供していることにあります。しかし、それは一つの機能であり、志を同じくする人が、いろいろなものを超えてつながり、動くことで、結果的に、ハンセン病患者支援活動のように、ソーシャルイノベーションへと導くことができているとしています。

 非営利セクターの活動の課題とは?

こうした非営利セクターは万能ではなく、活動においても様々な課題を抱えています。色々な立場で非営利セクターの活動に関わっている先生としては、以下の課題があるとまとめられました。

■非営利組織を運営する立場として:組織の慢性的な人・資金・時間の不足
■非営利組織を支援者する立場として:中長期的な組織経営戦略の欠如
■研究者として:非営利セクターの限界と可能性の見極め

特に、非営利セクターの限界については、ここを見極めることが大切です。90年代に過大に期待されていたが、結局成果が出せず、期待が停滞している現状を踏まえると、NPOだからこそできることもあり、それを認識し強化することで、NPOならではの機能を活用し、活動することができるのではないかとしています。

司会進行の広石からは、政府や国連機関に働きかけるようなアドボカシーを特別なものとして思いがちだが、周りを巻き込んだ関係作りの一つとして政府などを巻き込むことが可能であり、非営利組織だからこそ、政治的に対立している組織同士も一つの社会課題に対してつなぐことができるといった話をしました。

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2.ゲストトーク「市民の力で社会を動かす!コミュニティ・オーガナイジング」 鎌田華乃子氏(コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン代表)

鎌田さんからは、鎌田さんが取り組んでらっしゃるコミュニティ・オーガナイジングについて、なぜ、その活動に取り組むのか、また、その考え方や仕組みなどについてお話がありました。

コミュニティ・オーガナイジングは、価値観や目標を共にする人々が力を合わせ、効果的に活動を行うことで社会を動かそうとする方法のこと

はじめに、コミュニティ・オーガナイジングの本質について、絵本の「スイミー」のお話を例えて説明がありました。スイミーでは、小さな魚たちが力を合わせ、大きな魚を追い払うお話ですが、そのように、一人ひとりの力は小さくとも、それぞれの個性を活かして、目標を共有することで世の中を変えられることを目指すというものです。

コミュニティ・オーガナイジングは、実は新しい考え方ではなく、公民権運動に代表されるように、弱者であってもコミュニティを作って声を出していくこと、これが社会変革へつながるということを、効果的に行うことで社会を動かすやり方として体系だててまとめた手法のことです。公民権運動に30年間関わったハーバード大学のマーシャル・ガンツ博士が、自身の活動を体系的に研究し提唱されました。

鎌田さんは、米国留学中に出会ったこの手法をぜひ日本でも広げることで、市民の声が通る社会になるのではないかという思いから、コミュニティ・オーガナイジングジャパンを立上げ、活動しています。また、コミュニティ・オーガナイジングのテキストは無料で公開しており、誰でもみることができるようになっています。

日本にも、コミュニティ・オーガナイジングを活用した活動が実践されつつある

コミュニティ・オーガナイジングを使った活動というと特別なことのように感じます。古くからある黒人の公民権運動や、インドの独立運動に代表されるような活動と同じようなものです。日本でいう一揆もその一つと考えてよいそうです。また、現代においては、豊中市社協の地域住民による地域福祉の推進や、大槌町の復興推進隊、いわて連携復興センター、まんまるママいわてといった活動でも、使われており、私たちも普段の活動に使える手法です。

コミュニティ・オーガナイジングにおけるリーダーシップとは、責任を引き受けること

また、コミュニティ・オーガナイジングでは、リーダーシップとは、責任を引き受けることであると定義づけられています。答えを持っている人として人を引っ張っていく立場の人ではなく、先の見通しが立たない状況の中で、そのコミュニティの共通の目的に対して行動を起こすことができるように背中を押すこととされています。

コミュニティ・オーガナイジングのポイントは、困難にある人が自らの立ち向かうパワー集め、アクションに繋げること

コミュニティ・オーガナイジングでは、始める前に 「同志は誰か?(困っている当事者)」 「同志が直面している困難とは何か?」 「同志が困難をどう創造的に使い、困難に立ち向えるパワー(問題解決能力)に変えられるか?」 を考えていきます。当事者が自ら立ち向かうというところがポイントです。なぜ、そう考えるのかというと、現代の社会課題は、サービスを受ける側の人たちに力がない状況にあり、その人たちの力をつけることがその社会課題の解決につながるというのがコミュニティ・オーガナイジングの基本的な考え方だからです。

コミュニティ・オーガナイジングでリーダーが実現すべきこと

コミュニティー・オーガナイジングの中でも、リーダーがすべきこととして、「モチベーションを高めていく」、「信頼関係を作っていく」「組織をつくっていく」ということがあります。特に、「組織を作る」中では、ボランタリーな活動であるとゆるくなりがちですが、それでは続けられないため、いかに民主的であるかが効果的な組織をどう作って活動を行っているかが大事であるとされています。

さらに、「何かが起こったらアクションを起こすのではなく、当事者の力を使ってどう行動していくのかという戦略を立てていること」そして、「戦略をアクションに落とし込んでいくこと」も、メンバーで学んで実践していくことが基本となります。 そして、コミュニティ・オーガナイジングでは、一人の人が頑張るのではなくて、一人の人が多くのリーダーを育て広がっていく「スノーフレーク・リーダーシップ」、つまり、共感を広げていくことが重要であるとしています。

 

鎌田さんの活動紹介を聞いて、南里先生からは、コミュニティディベロップメントの中で、地域をどう開発すかのは、箱モノをつくってもダメで、人をどうつなげていくのか コミュニティ・オーガナイジングが大事としています。フィリピンの民衆革命もコミュニティ・オーガナイジングと同じイメージであったが、鎌田さんの活動のように、身近な地域の活動などにも活用できるといったことは興味深いとのコメントがありました。

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第2部 コミュニティ・オーガナイジング体験 「ストーリー・オブ・セルフを考えよう!」

第2部では、グループごとにコミュニティ・オーガナイジングを体験しました。 コミュニティ・オーガナイジングでは、仲間を広めるためにパブリックナラティブを公の場で語り、共有していくことが大切とされています。

つまり、コミュニティ・オーガナイジングでは、パブリックナラティブを、誰でもそのストーリーを語ることができるようにしたものです。

何か行動を起こすためには、戦略と関わる人たちの気持ち(私にとっても大事、ほっとけない気持ち)の両方が必要だそうです。パブリックナラティブは、この気持ちの部分を動かすものとされています。その価値観を共有することで、一緒に行動を起こしていくことになっていきます。

そして、価値観はただ述べるだけでは伝わらないので、それを得た経験、感情を共有することで、伝わるそうです。特に、人は、予期せぬハプニングを切り抜ける「戦術」ではなく、「勇気・モチベーション」を得たいという思いがあるので、それを基本に困難なことに対して、何を選択してどうなったのかを語っていくことが必要とされています。

今回は、この最初の価値観を考え伝える、「ストーリー・オブ・セルフ」の部分を体験しました。鎌田さんがコミュニティオーガナイジングの活動に至るまでの幼少期の原体験を語ったように、文字としてではなく光景として浮かびあがるように話すのがポイントだそうです。

以下のワークシートを埋めて考えていきました。その後、グループで発表し合い、フィードバックしていきました。 図1 *コミュニティ・オーガナイジングジャパンHP (http://communityorganizing.jp/co/textbook/)よりテキストはダウンロードできます。

最後に、鎌田さんより、自分の価値観がどこから来ているか、思い出すには時間が必要です。どんな状況でも他者のリーダーシップと行動を引き出せる物語を作るプロセスを学ぶのがコミュニティ・オーガナイジングです。そして、それは、それぞれの人の艶を出すのではなく、本来持っている輝きを見せることであると思っていますというコメントがありました。

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第3部 対話「活動が生まれる文京区をデザインしよう!」

第3部では、二人のゲストのお話とコミュニティ・オーガナイジング体験を踏まえ、グループで、最初に黄色い付箋に書いた「地域で仲間づくりをするときに難しいこと」を振り返り、その解決策についてディスカッションしました。

また、各人で、以下の2点について考え、グループで共有しました。
■自分自身が仲間を広げるために行いたいと思ったこと
■文京区でこんな機会が必要、作りたいと思ったこと

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【参加者から出された今後の取り組み】(一部抜粋)

■情報発信について
・イベント情報力で関心を持った人たちに発信していく
・自分の思いを発信する

・自分の価値観、地域の方の価値観を語れるような訓練をしたい
・パブリックナラティブをWEB上で発信したい

■場に参加してみる
・色々なイベントに参加してそのイベントで楽しかった思い出を友人に話していく
・ミライ対話の参加は有意義だった、同じようなイベントに参加していきたい

・仲間づくりの場に色々でかけたい

■場作りに挑戦したい
・いつでもどこでも自由に集える場づくりや、やりたいことを考えてみる
・自分のやりたいビジネスモデルを考えてみる
・自分が考えていること、必要なこと、何が必要でどんなことがしたいのかを考え ・使命を見つけたいと思う。

■仲間づくりの一歩を
・近所のコミュニティを探す
・近所の人とたちと話をしようと思う
・出会いを大切にして行動しようと思う
・文京区で飲み会を開く
・ネットワークとリアルでのつながりの仕組みづくりをしたい
・朝、地域を散歩してみる
・仲間を広げるために作成しているポータルサイトにストーリーオブ・セルフの考えを取り入れたい

■情報を集める
・きっかけがないと思っていたが、自分から情報収集をしようと思う。
・ガンツ先生の本を読んでみる
・現在どのような活動があるのかを知りたい

【参加者の声】
・会社(会社員なので)の外に出た時の自分の存在意義が、自分の役割の気づきのきっかけになりました。
・コミュニティーオーガナイズを体験して、今あるコミュニティーをもっと強化する必要性を感じました。
・明確な目的を自分なりにしっかり持ち整理することが必要だと思いました。
・短い時間で自己のストーリーを活す難しさを体験できました。
・使命を感じて、すでに行動を起こしている方々がいることが分かり、うれしかったです。
・自分からストーリーを伝えなければならないかなと思いました。

・自分の考えに共感してくれる方がいたことが嬉しかったです。
・背中を押されました。やろうと思っている事をやりたいです。
・「きっかけがない」と思っていましたが、自分から情報収集をしようと思いました。
・区で地域のつながりを作りたいと思っている人が多いことがわかりました。  

 


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