【開催レポート】(9/24)文京ミ・ラ・イ対話第4弾 私たちが未来を拓くためのメディアとは? ~個人が情報発信する時代の地域と情報を考える!~


9月24日、文京区湯島のb-lab(文京区青少年プラザ)にて、今年度の文京ミ・ラ・イ対話の第4弾となる、「私たちが未来を拓くためのメディアとは? ~個人が情報発信する時代の地域と情報を考える!~」を開催しました。

第1部では、評論家、「PLANETS」編集長 宇野常寛さんから、インターネットが生活インフラとなってきた現代において、文化はどのように生まれるのか、人のつながりとは何か、街はどのような機能を持てばよいのかといったお話をいただきました。第2部では、宇野さんのお話をヒントに、「文京区に多様な人を巻き込むためにはどうすればよいか」「今まで地域に関わっていない人のよい関わり方」について、話し合いました。当日は、区内外から53人の参加がありました。

◇イントロダクション

(1)NPO法人カタリバ 「b-labの紹介&立ち上げにおいて、ITをどのように活用したか?」

中高生に来てもらうために、途中経過を見せる、途中経過に巻き込む

会場であるb-lab (文京区青少年プラザ)の館長である今村さんと、一緒に活動している中高生が、b-labの活動やその中でのITの使い方についてお話しました。

b-labでは、多くの人が来場する施設とするために、オープン前から利用者となる中高生と一緒にチームを組んでロゴや広報について取り組んできました。また、開館後も、中高生によるプロジェクトやTwitterなどのSNSを活用した広報などを行い「中高生の秘密基地」としての機能を実現しています。

中高生からは、バンドの発表会である夏フェスについて、SNSを活用してどのような形で告知をしていったのか、ファンを広げていったのかという具体的な例について説明がありました。

 中高生に見てもらう情報は、スマートフォンでみることを前提に発信

 また、b-labでは中高生目線での情報発信に注力しています。夏フェスにみられるような中高生の自主的な取り組みなどもあり、既に、利用者数が1万人を超える施設となっています。これからも、もっと
b-labを知ってもらい、スタッフとして一緒に活動してもらいたいとのことです。

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(2)子育て支援課子育て支援推進担当 「ITを活用した子育て支援の取り組みについて」 

区では、出産予定日を入力することで必要な情報がタイムリーに届くような情報発信サービスを展開しています。今は行政情報がメインであるが、産後は、地域のイベントを知りたいという声が多いので、今後は、周辺の地域情報も届けられるように検討していきたいとのことです。

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第1部 トークセッション

1.ゲストトーク 「インターネット以降の生活文化とまちづくり」

評論家 『PLANETS』編集長 宇野 常寛さん

自身の生活の中では、地元へのコミットはゼロ。隣の人より、香港の友人とつながっている。

宇野さんは、現在、執筆家、評論家として活躍されています。ご自身は、転勤族の親の元に育ち、現在も地域との関わりがないため、「地元」という感覚がないそうです。むしろ、隣人より、香港の友人とつながっており、それが現代の一つの「個人の存在」と他者とのつながりのあり方であるとお話がありました。

インターネットは、生活インフラへ

90年代、インターネットが台頭してきたころは、まだまだ、趣味の世界のものという位置づけでしたが、現在は、すっかり生活インフラとして定着しています。そうした影響は、生活の変化をもたらしています。また、いまやネットサーフィンや、検索すらしない場合も多くなっており、特定の目的のものの情報を得るツールとして生活に定着しているそうです。検索エンジンであったグーグルも、もはや大きな電話帳としての機能を果たしているのではないかとのことです。

ホワイトカラーの変化

一方で、都市の生活スタイルを見ますと、かつての典型的なホワイカラーといえば、郊外に一戸建てを購入し、専業主婦の妻が家を守り、子どもが二人いる家族というものでしたが、今や共働き家庭の増加で、そうしたスタイルが変化してきています。都市部では、典型的ないわゆるホワイトカラー層が主流ではなくなっており、都心で働き都市で生活するという暮らし方です。また、消費に関する感覚も変化してきており、車を所有する、デパートで買い物をするといった価値観は、もはや古いものとなっています。

地域コミュニティからテーマコミュニティへ

そうした生活やライフスタイルの変化が進んでいる中で、昔ながらの地域のコミュニティは機能していないといえます。かつては、地域コミュニティにコミットしないと生活できませんでしたが、今や、それはない。そうなると、人々が求めるものは、テーマコミュニティであり、実際にそうした変遷が見られるそうです。

ただ、育児や防災、介護といった点においては、地域コミュニティで取り扱う方が効率的な面もあり、必要となった時に、地域コミュニティで対処するということになります。

街が文化を生まない時代。文化が地理を決定していく

また、文化の形成についても、インターネットの影響で変化してきています。若者の文化を生み出した渋谷の次となる地域、「ポスト渋谷」は、今後は出現しないのではと考えているそうです。つまり、かつての渋谷のように、その場所に人が集まることでできる圧倒的な文化は生まれないとされています。それは、場所に人が集まるのではなく、インターネットでの人の出会いがあり、そこから文化が生まれることに代替されています。今、ヒットしている多くのものは、場所ではなく、インターネットの文化から生まれてきています。そういった意味で、文化の形成と街が切り離されてしまい、場所が文化を生むのではなくて、むしろ、秋葉原のように、逆に文化が街をつくるといえるのではないでしょうか。

地方は、コアなファンが集まりたい場所、守りたい場所でありさえすればよい

宇野さんは、かつて、九州の町の活性化プロジェクトに関わったご経験があるそうですが、地方では、未だに目指すものは人口増加、工場誘致などにおける経済活性化という概念が残っているそうです。それは現代の生活者の志向とは方向が異なるのではないかと考えられています。そうした画一的な考えでは地域は残れないのではないかと危惧されています。例えば、プロジェクトに関わった地方の町では、江戸時代くらいを想定し、少ない人口でそこにある資源を守っていけばよいのではないか。そして、そうした資源を愛する人が、全国にいて、来てくれるといったことの方が重要であり、仮に、町に100万人が暮らしていなくても、地域の外に、100万の町や資源のファンがいれば、経済的にも成り立っていけるのではということです。

2020年のオリンピックに向けて、都市機能が変わる

さらに、宇野さんは、他の様々なジャンルの方と一緒に、オルタナティブ・オリンピック・プロジェクトを提唱されています。湾岸地域、東部、西部、多摩地区に分けてどのような変化が起きるのかを予測しています。かつての典型的なホワイトカラーがなくなっていく状況では、郊外から都市への回帰が行われることが想定されるため、それぞれの地区の都市の機能が変化し、新しい機能が求められてくるのではないか、また、担っていく必要があるのではないかと考えていらっしゃいます。

これからの街づくりのポイントは、バラバラのままの共存

価値が多様化していく中で、Aさんにとっての幸せは、Bさんにとっての幸せではないという状況になってきています。そうした中、世田谷の住宅街に、大人のためのカードゲーム専門店があり、そこに大人が遠方からでも集まってきています。このような事例に、今後の都市の可能性を感じており、遠くからもファンが着てくれる場所、関わってくれる場所として、街は残り、そうした中で、地域コミュニティではなく、テーマ(趣味)でつながるコミュニティとして、人々がつながっていくのではないかとお考えになっています。そのためには、逆に、地域に住んでいる人の志向性(趣味)はバラバラであっても共存していくことを、目指すべきではないかとなりました。

文京区においても、世帯構成を見ると、典型的と思われている夫婦+子ども二人という世帯が占める割合は多くありません。むしろ、最も多いのは、一人暮らし世帯、それも若い世代ではなく、30~40代が多くなっています。そういった意味でも、文京区も都市の一部として、昔のライフスタイルや家族構成、価値観をベースに街づくりを考えるのではなく、新しい価値観と発想で考えていくことが必要であるといえます。

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◇第2部 自分と街のミ・ラ・イを考える対話「いざという時、信頼できるつながりとは?」

宇野さんのお話をヒントに、対話の場で話し合いたいテーマについて、挙げていきました。それらを鑑み、その後の対話のテーブルテーマを以下の二つと設定し、対話を行いました。

  • 地域とつながっていない人がよい関わり方ができるには?
  • 文京区に新しい多様な人たちがどのように関わっていくのか?

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【参加者より挙げられたお題(課題)】
◇地域コミュニティへの関わり方について

  • 単身者が地域コミュニティに入るきっかけがない。
  • 単身者に対する公共サービスは?
  • 世代差があるのでは?
  • 新住民をどのようにつなぐか?
  • 近所つきあいは面倒?
  • 地域にコミットしたい時にどう対応するのか?
  • 地域参加のストレスがある。

◇ライフスタイル・暮らし

  • 既存のサービス提供のモデルとなっている世帯との現状のずれは?
  • ライフスタイルの多様化は?
  • 何に時間を使うのか?ネットとリアルのバランスは?
  • 格差が広がっている現状について。

◇新しいコミュニティづくり

  • ネットコミュニティと地域コミュニティをつなぐものは?
  • 公共性とテーマコミュニティとの関係は?
  • テーマのつながりから地元コミットを高めるには?

◇街づくり・魅力アップ

  • 「勝手にやってくるファンが大事」がヒントになりそう。
  • 文化による魅力付加をどうつくる?
  • ファンが集まる場をどうつくるのか?
  • 「リアル」にいかに価値をつけるか?
  • 観光地としての文京区をどうつくるか?

◇ITの使い方

  • ネットとオフラインを使ったコミュニティをどうつくるのか?
  • ネットとリアルの関係は?
  • 情報ツールを使った世代間交流はできないか?
  • メディアのこれからの役割は?
  • SNSによるネット疲れがある。
【対話で出た意見】
地域とつながっていない人が良い関わり方ができるには

◇テーマでつながることが一つのポイント

  • 従来の地縁ではないコミュニティをどうつくるかがポイント。
  • テーマで集まる場があるとよい。
  • 大学生なども参加できるようにする(大学生のファンをつくる)。
  • 会社員は、平日は忙しく、土日も趣味や遊びに使いたいという気持ちがある。そのため、地域に関わることが「趣味」のような感覚になればよい。
  • 食をテーマにしたコミュニティは可能性があると思う。食は生活の基本なので、どの世代も関われる。
  • 犬の散歩やご近所の挨拶などから、ちょっとしたつながりができる。

◇参加の糸口がない

  • 単身世帯など、つながる回路が現状文京区にはないように思う。
  • 祭りなどは参加してみたいが、どうすれば参加できるのかわからない。
  • よそ者を入れてくれるのか不安に思う。
  • 地域に関わることが負担になるような気がする。
  • 参加のハードルを下げるような仕組みはないか(例えば、WEBでゆるくつながるなど)。

◇災害なども共通の危機意識は関わるポイント

  • 防災だけでは参加したいというモチベーションがまだ弱いので、そこにさらに面白いこと、別テーマを掛け合わせるとよい(サッカーと防災、待ち歩きと防災など)。
  • 利害が一致すれば人は関わる。
  • 介護や子育ての悩みを共有できる場があれば、関わる人が増えそう。
文京区に新しい多様な人たちがどのように関わっていくのか?

◇文京区の資産を活用する

  • 普通はあまり気付かないような、隠れた資産を活用していくのが良いのではないか?
  • より狭く深い分野に特化したものがあると、興味がある人は来ると思う。
  • まちのブランドイメージとしての“東大”というものの活用の仕方がありそう。
  • 文京区には歴史的な素晴らしいものがたくさんある。東大の赤門、後楽園、神社など。ただ、お年寄りしか集まらないのが課題である。

◇インターネットからは手に入らないものを提供する

  • 味や体験(ワークショップ)などを提供する。
  • 多様化している価値観に対応していく。個人商店が頑張ることや増えることが大切ではないか。
  • ネットで見て、実際に足を運ばないと買えないものがあると行ってみたくなるのではないか?

◇通勤・通学だけの人をどうひきつけるか

  • お互いに、どことなくよそ者をみるような感じになっている。
  • 地域自体に引き付ける“何か”がないと、なにをどう関わっていいものか、見当がつかない。

◇文京区のファンをつくる体制や受け入れる体制づくり

  • いろんな人が遠くから訪れ、多種多様な人たちが文京区に混在してくるような仕掛け、インフラ、まちの土壌、そういったものが必要である。
  • リアルとバーチャルを交互に行き交うようなインフラが必要である。
  • 谷根千のような行政区を越えたひとつのブランド、まちの価値の構築が必要である。
  • 高校生前後の学生層など新しい(若い?)世代には新しいアプローチが必要なのではないか?
  • 映画をつくるなど、そうしたプロセスで色々な人がつながれる(活動の場が必要)。
  • 若者から見るとネット的なカジュアルさがないと感じる。例えば、LINE公式アカウントとかなら入りやすい。行儀が良すぎない発信のし方を工夫するとよいのでは。
  • ゲームのようなサブカルチャーが絡むと入りやすい。

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5.まとめ

最後に宇野さんより、「地元」は、テーマでつながる。その地域に行きたい人や守りたい人などのファンが外にいて、集まりその資源を守っていく。それが新しい地元の形であるとお話がありました。

現にb-labでも、文京区に関わりのない中高生が、b-labに関わりたくて湯島に集まっています。こうしたことがヒントとなって、新しい都市コミュニティが生まれていくと思われます。それは、インターネット時代だからこそできるコミュニティと文化であるといえます。

ただし、地域課題を解決するために、地域コミュニティがどうしても必要な場面や効果的な場合があり、そうしたメリットを感じることができたとき、初めて地域コミュニティへのコミットが始まるのではないかというお話がありました。

今回の話し合いの中でも「テーマコミュニティ」について興味を持つ参加者が多くみられました。情報発信機能を活用しながら、新しい都市暮らしの魅力づくりの可能性を感じる会となりました。

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【参加者の声】

  • 地域にコミットするという意識が今までなかったため、勉強になりました。
  • 「地元」とは地域つながりだけではないという気づきを得ました。
  • 文化が地理をつくるということで、バラバラのコミュニティをどうやって育てるのか考えるきっかけになりました。
  • ポスト・ソーシャルというかネットに生きづらさを感じた人たちがいかに生きやすくなるリアルを作るかが大事だと思いました。
  • 住んでない人にどう関わってもらうかがポイントだと思いました。
  • 地域(地元)にコミットしてない人について思い描くことができました。
  • 地域コミュニティからテーマコミュニティは、確かにそうだと思いました。ただ、もしものときには地域コミュニティも必要なので、その辺りをどうすかが課題だと思いました。
  • 宇野さんのお話は大変参考になりました。
  • 都市が文化を生んでいないというのが印象的でした。
  • 文京区には学生が多いわけではないことに驚き、区のイメージの推進と住人の生活の向上がイコールにならないことを学びました。
  • 地域コミュニティから漏れた人々にどう手を差し伸べていくかが今後の自治体や住民の課題であると感じました。

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