【開催レポート】(9/13)文京のミ・ラ・イへつなぐシンポジウム&対話 「頼りになる情報源、持っていますか? ~ 情報があふれる社会で生き抜くための“つながり”を考えよう~」


9月13日、文京区目白台の日本女子大学にて、今年度の文京ミ・ラ・イ対話の第3弾となる、「頼りになる情報源、持っていますか? 情報があふれる社会で生き抜くための“つながり”を考えよう~」を開催しました。

文京ミ・ラ・イ対話は、地域の人に出会い、地域の課題と活動を知り、仲間をつくるきっかけとして、区民や地域に関わる人たち、専門家、実践者及び区職員がテーマについて話し合い、共に解決策を考えていく取り組みです。今年度の文京ミ・ラ・イ対話は、文京区内にある大学等と連携しながら開催していきます。

今回のテーマは、「~頼りになる情報源、持っていますか? ~ 情報があふれる社会で生き抜くための“つながり”を考えよう~」でした。第1部では、日本女子大学家政学部住居学科教授・住居学科長 平田京子先生からご研究されているテーマをお話いただきました。NPO法人 東京いのちのポータルサイト監事 中橋徹也さんからは、現場での経験等を踏まえ、災害などのいざという時、正確な情報を知り行動に移すのは、また、地域で助け合う「共助」をすすめるためには、どのようなことに備えればよいのか、普段からの地域のつながりとして何が必要なのかをお話いただきました。第2部では、ゲストの方のお話などを聞いた参加者が、漠然と生活の中で不安に思っていることに対して、どのような情報や行動が足りていないかを振り返りながら、街として必要な機能などについて話し合いました。当日は、文京区内外から29人の参加がありました。

◇第1部  シンポジウム「頼りになる情報、人を見つけるには?」         

1.ゲストトーク

(1)平田京子 先生(日本女子大学家政学部住居学科 教授・住居学科長)

7日間、まずは自力で生き延びるための備えと情報が必要

都市の場合、備えるべきは、揺れと火災。火災の発生を想定した場合に、どこへ避難すればよいのか知っていますか?と、まずは平田先生から問いかけがありました。また、避難所と避難場所の違い、避難所はどんな人が利用すればよいのか、こういった基礎的なことが、一般的に理解されていないことが多いとのことです。避難所は、一般的に住宅が倒壊した方が優先されて入る場所であり、基本的には自助が大前提です。生活基盤の再建には7日間かかるという想定がされているため、自力で7日間生き延びるために備えることが必須というお話がありました。

災害後は忙しい、自分の身の安全が確保されたら共助行動へ

また、災害後は、家族の安否確認の奔走に終始してしまったり、呆然として片付けから入る人などがいるそうです。しかし、地域として、災害発生後は、消火活動、避難所の立ち上げ、近隣の方の安否確認・救助など、やるべきことが多く、自分の身の安全が確保された人は、「助ける側」にまわる意識が必要となってきます。大災害の時には、区の担当者がすぐに駆けつけることなども期待ができないため、地域で助け合っていくことが必要となってきます。

助ける、助けられるためにも、普段からの仕組みづくりが必要

安否確認旗など、地域としての備えも必要となってきます。万が一の場合には、72時間以内に救助することが必要となるため、こうした仕組みを使った安否確認が意味を持ってきます。また、現実的に自分の安否を確認してくれる人がいるのか、いざという時に頼りになる仲間がいるのか、混乱を極める中で確かな情報を得る術はあるのか、そういったことを今一度チェックする必要があるといえます。

また、そうしたつながりは、普段からの行動が大切となります。「つながりがない」といって嘆くのではなく、例えば、マンションの同じフロアの人と安否確認の方法を確認しておく、避難所運営の訓練などにお手伝いすることで地域とのつながりができるなど、まずは自分からアクションを起こしていく必要があります。

自分ごととして思えるようになると、関心が高まり、アクションへとつながる

鬼怒川の洪水でも、ハザードマップは整備されていてましたが、結局は活かされなかったということがありました。情報があっても、それを使い、行動に起こすことができていないのが現状です。平田先生いわく、やはり「自分ごと」として考えるようにすることが大切ではないかとのことでした。また、混乱を極める災害後には、情報ソースが信頼できるものなのか、信頼ができる人からの情報なのか、そういったことも見極めていくことが大切になるようです。

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(2) 中橋徹也 氏(NPO法人 東京いのちのポータルサイト 監事 )

災害時には、情報の全体像が見えなくなるために、情報が不足していると思ってしまう

長野県白馬村など、地域づくり、街づくりの現場で活動する中橋さんからは、現場での経験から頼りになる情報を得るためにはどうすればよいかというお話がありました。
災害など混乱した現場を経験したことのある中橋さんですが、現場では、情報が入ってはくるのですが、全体像が見えないために、入ってくる情報を整理できない、取り出せずに情報不足と認識するケースが多いようです。不完全な情報をつなぐためには、多様なつながりから多角的に情報を集め、それをつなぎ合わせて、全体像とすることが必要となってきます。また、非常時の情報は「人」が持ってくるケースが多いそうです。人が動けば情報も動くことを実感されています。

私的情報源は、いざとなってから得ることは難しい

断片的な多様な情報を集めることが必要な緊急時において、公的な情報を得ることは比較的たやすいが、いざとなってから公でない情報を得ようとするのは難しい。それには、日ごろから、私的な情報を得られるような関係づくり、つながりづくりが必要です。

信頼できる情報を得るには自分が情報源となることも必要

そういった意味で、多方面から信頼できる情報を集めるには、自分が地域のキーマンとなり情報発信源となることも一つの方法です。地域のキーマンには、地域の情報が自ずと集まり、また、情報発信することで他からの情報も得ることができます。

地域のキーマンになるために大切なこと

また、中橋さんは、地域のキーマンになるために大切なこととして、「対話」「場作り」「人の話に耳を傾ける」「受援力」「繋げる力」を挙げています。
つながりを作るためには、本気と本音の「討論」と「対話」が必要であり、また、お茶を飲むといった簡単なことでもいいので普段からの「場作り」が必要です。さらに、話し合いをしながら人の話に「それいいね」と共感することで、それぞれのアイデアをどんどん乗せて新しいものを作ったり、人に伝えていくことができます。さらに、こんなことが困っていると情報発信すれば情報が集まってきますし、その場で自分が動くことで新しいつながりを作ることができます。地域のキーマンとなるような人は、その場で電話をする、紹介をするといった行動力のある方が多いと中橋さんも感じられています。

中くらいのつながりがいざという時に頼りになることが多い

中橋さんの現場での実感として、地縁血縁といった強いつながりである「Strong Ties」ではなく、挨拶する程度の「weak ties」でもなく、「Middle ties(中くらいのきずな)」が、いざという時には役立つそうです。例えば、かつて同じ仕事をした人や、同窓生など、今は疎遠だけれどいざという時に頼れるそういった仲間が実は一番頼りになる情報源、関係なのではないかというお話がありました。そういった意味でも、普段から同窓会に参加するといったつながりを作るアクションが必要になります。さらに、普段から「自分のため」以外にも、人のためにも時間や手間を使うといったことが必要となってくるのではないでしょうかというお話がありました。

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2.区の取り組み紹介(文京区防災課)

様々な情報ツールが整備されているが、情報を取りに行く意識付けが重要!

防災課の池田主査より、文京区における防災情報発信の各種のツールなどについて紹介がありました。防災無線をはじめとして、「文の京」安心・防災メール、文京区防災ホームページ、Lアラート、防災アプリ、Twitterやハザードマップの全戸配布など、区では様々なメディアで、防災・災害情報を提供する仕組みを整えています。防災無線も、毎年設置箇所を増やしており区民に情報が届くように取り組んでいます。
しかし、「文の京」安心・防災メール一つをとっても、登録者が9000人とまだまだ少なく、情報を取りに行く意識が低い人にどう情報を届けるかが課題となっています。やはり、そこは個々人の意識付けが必要となってくるため、今後、そこに取り組むこととしているそうです。また、目や耳の不自由な方への伝達方法や、新たな情報発信ツールへの対応なども今後の課題となっているそうです。

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3.街で動き始めている人の声

既に防災に関連する活動を始めている方の声として、2人の方から活動を紹介して頂きました。

HUG 避難所運営ゲームを通して、子育て世代の意識を高める!

Hさんは、小日向で「そなえーる」という活動をされています。自身も二児の母親ということもあり、子育て世代を対象としたHUG避難所運営ゲームの普及の取り組みをしています。実際に体験したことのないことをシミュレーションするゲームを通じて、自分事とすることで、子育て世代の意識を高めることを目指しています。

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地域で、産官学の連携をして災害維持に備える 

Sさんは、本郷いきぬき工房を立ち上げ、大災害時にみんなで生き抜くことを目標に活動をしています。地域での共助を進めるには、産官学の連携が必要と、大学の専門家や文京区の企業、町内の人など様々なステークホルダーをつなぐ活動や、車椅子の方の避難を想定した活動などをしています。

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◇第2部 自分と街のミ・ラ・イを考える対話「いざという時、信頼できるつながりとは?」

1.自分の暮らしの中で、不安なことを考える

平田先生、中橋さん、区の取り組みなどをヒントに、以下のワークシートを活用して、「自分の暮らしの中で、今、自分に起きたらどうしていいかわからない、自分自身や家族だけでは対応できないと思うこと」を具体的に考えていきました。

さらに、「不安に思っていること」の要因には、不安な事象に対する「自分自身の行動」が何か足りていないことがあります。それが具体的にどのようなことなのかも考え、グループで発表していきました。

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【対話より出された不安事項と自身に足りない行動】

①大きな地震

  • 家族との連絡を取るのが難しそう
  • 勤務地が離れているため、すぐに自宅に戻れない
  • 住居の耐震性に不安がある
  • どのように人を助けたらよいのか知らない
  • デジタルデータに頼りすぎており、携帯電話などの電源がなくなった時に、どこにも連絡ができない
  • 足の不自由な家族をどうやって非難させるか不安
  • 帰宅困難者になりそう
  • 子どものお迎えをどうしたらいいのかわからない
  • 家族との普段からの話し合いが不十分
  • 家族との連絡ツールなどの知識が不足している
  • 防災訓練などに参加していない
  • 家族間で普段からの居場所の共有が必要
  • 二次想定ができていない
    (例、妻が怪我をしたら子どもはだれが守るのか?)
  • まあ、なんとかなるさと、根拠なく楽天的になってしまっている
  • 近所の人など、いざというときに頼れる人を決めていない

②離れて暮らす家族の安否

  • 駆けつけるまでの間、だれに頼っていいのかわからない
  • どのように対応していいかわからない
  • 普段の親の行動を把握していない(普段の生活、かかりつけ医、財産管理など)
  • 近所の頼れる人との連絡方法がわからない

③子どもを狙った犯罪

  • 仕事をしているために、子どもと一緒にいられない
  • 子どもを狙った犯罪が多発していると感じる
  • 近所の見守りや頼れる人を知らない
  • 子どもが犯罪に巻き込まれないようにうまく教えられない
  • 地域の危険箇所を知らない
  • ITツールなどを極端に毛嫌いして、うまく活かせていない

④想定外の怪我など一人暮らしの不安

  • 一人暮らしの場合、近所で頼れるのは友達だけ。楽しいことは友達と共有しやすいが、つらいことを共有するのはどうかという遠慮がある
  • 管理会社以外で頼れる人がいない
  • 友人同士の間でも、いざという時のための想定が必要

⑤火災

  • マンションが火災で焼失したことを考えると不安
  • 保障制度などを何も知らないことに気づいた。管理人さんに聞くなど、想定しておくことが大事

⑥テロ、ストーカーなどの犯罪

  • 無差別殺人やテロなどが起きたときにどうしたらよいのかわからない
  • 個人情報漏えいなどにどう対応していいのかわからない
  • ストーカーなど不可抗力で合いそう(警察に頼れない)
  • 相談しても対応できないと思っている
  • 他人へ相談していない
  • 犯罪に対する意識があまりない。想定していないので何をしていいのかわからない

⑦介護などへの対応

  • 経済的な面への不安
  • 知識が不足している
  • 誰を頼っていいのか不安がある
  • 家族で、介護のことについて話し合っていない
  • どのような状況で親が暮らしているのか把握していない
  • 自分の生活が精一杯で親のことへ気が回らない

⑧災害時の情報

  • 防災無線などは雨の日につかえない
  • いざというときに頼れる人がいない
  • 災害時に情報をどう入手するのかわからない
  • デジタルデータに頼りすぎている
  • メールや電話以外で、情報を入手する方法を確認していない

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2.不安を解決するための具体的な仕組みやアクションを考える

ワークシートの内容を共有した後に、具体的にどのような仕組みがあればよいのか、個人としてどのようなアクションをしたいのかを話し合いました。

【今後取り組みたいこと】
■日常との組み合わせで意識を高める

  • 防災をアウトドアの側面から紹介してくれる女性と知り合いになった。その人の話をききに行きたい。楽しくないと興味を持ち続けることが難しい。
  • 観光ガイドのまちあるきフィールドワークで防災についても教えてくれる人がいたのがよかった。楽しみながら防災を学べる機会は探してみたい。

■情報や想定ケースを、家族など関係者で共有しておく

  • 非常時はデマが溢れるから、本当に信頼できる情報を日頃から持っておく。
  • デジタルをうまく使う。災害時は電話などで話すことが難しい。Twitter、LINEなど、電話以外の通信手段を持ち、家族とも災害時にどのように連絡を取るか決めておく。
  • 一人一人が情報を分析し、判断できる力を持つことが大切。
  • 災害時はいち早く逃げることが大切。まずいち早く逃げ、助けられる人は地域の人をいち早く逃がす方法を知っておくと良いと思う。
  • 地震で被災した際に電源がとれずスマホなどのIT機器が使えなくなるので、必要な連絡先を紙に印刷して、家族みんなで持っておくようにしたい。
  • 「ルール」を考える場や、「知識」を得る場を作る(イベントに参加する)。
  • いざという時のために、家族と家族のスケジュール、曜日によっての所在、習慣、行動範囲、交友範囲等を把握し合う。

■授援力を高める

  • 「自分にはできない」ことを明確にして、カミングアウトしておく。
  • 専門の団体などに日頃から相談しておく。

■具体的なつながりを作っておく

  • つながりがマンション内だけにとどまっているので、近所の友達と協定を結ぶということをやってみたい。
  • 日頃から地域(近隣住民・友人)や家族(親子・親戚)との人間関係を深めておく。

■自助として、まずは備える

  • いざというときのために物資を家に貯めておきたい。話に出た7日間の食料、水などは用意したい。

■ITを活用したつながりを作る

  • Facebookなど信頼性の高い情報をシェアしていきたい。知り合いをみていると、情報発信者になることで、情報発信者自身のところに情報が集まってくるようにみえる。自分も情報発信者になりたい。

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5.まとめ

最後に、中橋さんからは、まず、それぞれが家族との連絡など自助から考えることの必要性を感じたというお話がありました。また、平田先生からは、災害が起こると、家族の声を聞きたいといったことに固執して右往左往することがありますが、双方向の連絡を取ることはほぼ不可能と思った方がよい。無理に、子どもを迎えに行こうとして母親たちが街を歩くというのも、急速な治安の悪化ということもありえるので、例えば、災害伝言ダイヤルの活用やTwitterによる安否の情報発信などが有効であるというお話がありました。また、人によっては、自助だけの人、共助だけの人と偏る傾向があることが研究よりわかっていますが、自助・共助どちらも必要であるため、家族の話は自助の範囲であるので、ぜひ、共助にも目を向けるようにしてもらいたいとのお話がありました。

今回は、災害などの暮らしの不安について具体的に話をすることができ、それぞれの防災などに対する認識を新たにすることができた会となりました。冒頭に述べられたように、鬼怒川の洪水の例のように、情報があってもそれを自分のアクションへとつなげられないということがあります。今回のような対話により、不安を具体的に考え、少しでも次へのアクションへとつなげていくことの必要性を改めて感じることができました。

【参加者の声】

  • 信頼できる情報を得ることの重要性は理解していましたが、それを”つながり”という観点から見ていくこと、情報源になるための具体的なアクションを考えることができ、ためになりました。共働の大切さ必要性を理解しました。
  • なんとなく思っていたことを一歩踏み込んで考えることが必要だと思いました。
  • 情報を得る方法などを教えていただき、勉強になりました。ライフラインの停止日数想定(応急復旧日数)を教えていただき、参考になりました。
  • それぞれの年代に応じた情報の把握の仕方があることを感じました。
  • 日ごろから関心を持つべき事案に対し、客観的にとらえる機会を持てたのはよかった。
  • 災害の前に人同士でつながりを作っておくことが、物理、物質的なライフラインにも増して重要だと思いました。
  • 小さくできることから始めようと思いました
    (自家発電→モバイルバッテリー、自転車パンク→窒素キット、携帯トイレ→ビニール袋)

 


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