【開催レポート】社会起業入門講座「共感を呼ぶ活動をつくるには」 8/27開催


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8月27日、文京シビックセンターにて、ファンドレイジング・ラボ代表の徳永洋子さんをゲストにお迎えし、今年度2回目の社会起業入門講座「共感を呼ぶ活動をつくるには?」を開催し、区内外から39人の参加がありました。

社会起業に欠かせない「共感」を集めるために必要な考え方を、実践的にお話しいただきました。また、後半は受講生の質問から、徳永さんとの対話を行いました。

◇第1部
徳永洋子さんのゲストトーク「共感を呼ぶ活動をつくるには?」

第1部では、社会起業やソーシャルデザインに不可欠な「共感」をどうしたら得られるのか、共感をどうアクションにつなげていくのか、基本的な考え方を教えていただきました。

アイスブレイク:「5年後の新聞」を用いた自己紹介

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講演のはじめに、徳永さんから「5年後の新聞に大きくあなたの活動が掲載されました!その見出しと記事要約を書いてください」というお題が出されました。受講者がいま心に抱いている社会起業の内容について、新聞記事を作成した上で2〜3名のグループで自己紹介を行いました。

このワークによって、社会起業に最も重要な「夢」について考えてみることで、その夢に描かれた社会を実現するには、

  • 夢を言葉にすること
  • 夢を一緒に実現する仲間に伝えること
  • 夢を実現する期限を作ること

という、夢について重要な3つのポイントを、講座の最初に参加者全員で共有することができました。

なぜ共感が必要なのか

社会起業をする方がやろうとしていることは、社会起業によって社会を変えるということです。そのためには、共に行動する仲間を増やし、仲間(寄付者・ボランティア・行政・助成財団・共感型購入者など)からの支援が必要です。
一人でもできると考えている方がいるかもしれませんが、一人よりも二人、二人よりも三人の方が、たくさんのことが実現できます。
例えば、共感が必要な例に、寄付があります。寄付を集めることは気が重いと感じる方も多いかもしれません。でも、寄付を募ることも「一緒に仲間を増やすこと」に異なりません。なぜなら、あなたの夢にとても共感している人でも、仕事や家庭の事情で活動には参加できない方や、たくさんの社会課題解決に少しずつ協力したいと考える方など、様々な立場の人がいるからです。彼らもあなたと同じ社会課題を解決したいと思っており、その想いを託す一つの方法が寄付なのです。

このように、一緒に活動する方・寄付をしてくれる方・購入してくれる方など、様々な立場の仲間を作るためにも、共感がとても必要です。

応援の気持ちをアクションに移してもらうには

「あなたの活動いいね、頑張ってね!」とたくさん言われても、寄付という具体的な行動に移してもらわなければ、あなたの目指す社会は実現しません。良いと思ってくれた方にアクションへ移してもらうことが必要です。
そのために、社会を変えるためのアクションの要素を考えてみると、

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  • (自分や団体ではなく)課題に対する共感
  • 解決策への賛同
  • あなたや団体への信頼

の3つが挙げられます。例えば、自然保護団体のWEBサイトには、とても綺麗な棚田の風景が載っていたりします。共感者は、「この風景を守りたい」という想いに共感します。団体や人に対してではなく、課題について共感するのです。

そこで、あなたは共感者に「私たちがこんな方法でこの課題を解決します」という解決策を示す必要があります。この解決策に賛同してくれることで、共感者はアクションに移してくれます。

そのためには、「信頼」と「信用」の2つの「信」が必要です。どんなに素敵なことを語っても、「本当にできるのか?」と思われてしまっては意味がありません。実績のアピールと適切な情報公開が重要です。

共感を得るために必要な3つのもの

共感を得るためには、具体的に何をすれば良いのでしょうか?そのために、3つの手法をお伝えします。

  • コンテンツマーケティング
  • ストーリーテリング
  • 夢の共有

①見つけてもらうコンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、有益で説得力のある情報(コンテンツ)を発信することによって、サービスを求めている人に自分たちの存在を発見してもらうための手法です。例えば、徳永さんの場合は「ファンドレイジング」というテーマで毎週欠かさずブログ記事を書いて発信し続けることにより、講演や支援の機会が巡ってきます。
そのような機会を得るためにも、WEBサイトやブログ等で情報をこまめに発信し続けることにより、潜在的に興味を抱いている人に見つけてもらう必要があります。

②ストーリーテリング
見つけてもらったら、共感してもらう必要があります。そのために必要なのがストーリーテリングです。ただ真っ正面からサービスの説明をしていてもなかなか伝わりません。しかし、「○○さんが△△をして××になった!」と絵が浮かぶ様なリアリティのあるストーリーを語られると、とても惹き付けられるものです。

③夢の共有
ストーリーテリングでは、○○さんのたった一人の小さな例でした。このストーリーでは感動だけで終わりますが、「このように世界が変わるんです!」ということを言葉で伝えて共有することで、初めて共感になります。そのためにも、以下の3つを含めた壮大な未来について伝えてください。

  • 壮大な「ミッション」
  • イメージしやすい「ビジョン」
  • 覚えやすい「スローガン」

共感が得られた後に必要なこととは

①アクションを気軽&手軽に
どんなに共感してもらっても、アクションに移してもらえないと意味がありません。その最後の砦が、「気軽さ&手軽さ」です。例えば、寄付をしたいけどいくら寄付しようか迷ってしまうような状況もあります。「1口1000円、3口以上お願いします」というように、アクションを起こしやすい設定にすることが、気軽さです。更に、「寄付金は9:00〜17:00に事務所までご持参ください。それ以外は受け付けません」というような仕組みで寄付をしてくれる方はなかなかいないと思います。この場合、振込やクレジットカードなどでいつでも寄付ができるような仕組みなどの、手軽さが必要です。

②アクションを持続させる
アクションしてくれた人は共感してくれています。せっかく共感してくれたのだから、その共感を高めて持続させましょう。具体的には、いくつかのタイミングで感謝を伝えます。
まずは、寄付を頂いた際や会員になってもらった際に、感謝の気持ちを伝えます。次に、活動の進捗状況などをレポートという形で伝えることにより、感謝の気持ちを表します。そしてもう一つは、「もう一度お願いします」とお願いする時です。
これらの、3つのタイミングでそれぞれ感謝の意を示すことで、共感者にアクションを継続してもらえる工夫をしましょう。

③文化をつくろう
また、あなたの夢に共感してくれる人たちはいわばファンクラブです。そのファンクラブを育んでいくためには、

  • Credo
  • Communication
  • Culture

を心がけてみましょう。みんなが共有できるスローガンのようなものによって、何に共感しているのかを明らかにします。また、SNSやニューズレター等で、共感している人同士が繋がる方法を設けることで、共感者の環が広がります。そして、共感者の間で自分たちの課題を解決するのに当然の行動を、当たり前の文化として共有し、社会に少しずつ根付かせていきましょう。

問題解決に必要な協力はどんどんお願いしていこう

「儲」という漢字は、「信」と「者」という漢字で成り立っています。社会起業によって儲けるということは、信じてくれている人がたくさんいるということです。営利であれ非営利であれ、ビジネスを持続していくためには、善意のお金を集めることがどうしても必要になります。
それには、「Ask(お願い)」と「Thanks(感謝)」が必要です。当たり前のように感じますが、私たちはなかなかAsk(「寄付してください・協力してください」)することができていないのです。
社会起業によってあなたの目指す社会を実現するためには、物やサービスを買ってもらわないと意味がありません。私たちは、のれんも出さない隠れた名店のようになってはいけないのです。広く社会の方に伝え、その方の共感を集め、一緒になって新たな意識を共有し、行動を変えていくことにより、社会を変えていく必要があるのです。そのことを考えると、Ask(お願い)することは失礼ではなく必要なことで、遠慮なくAskしなければならないのです。そして共感・協力してくれた方に、きちんとThanks(「ありがとうございました」)を伝えることで初めて共感が得られるのです。

 ◇第2部 徳永洋子さんと受講生の対話

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前半の講演から、徳永さんに訊いてみたいことを付箋に書き、20を超える質問を貼り出していただきました。その中でも特に、自分たちの活動にどうしたら活かせるかという質問が多く寄せられました。

Q.夢を相手と共有するにはどうすればいいですか?

A.まずはきちんと言葉にすることが必要です。自分の言葉に自分で違和感のないレベルまで言語化すれば相手には伝わると思います。言葉にしても夢を共有できず、離れていく人も多いと思います。それでも、共感してくれる方はある一定の割合で存在するはずなので、その人を大切にしてアプローチしていくことが大切だと思います。そして、夢は「叫び続ける」ことが大切です。

Q.どんな情報発信の仕方をすればいいですか?

A.自分たちの団体やターゲットに合った媒体や方法を選ぶことが重要です。 例えば、高齢者の方に情報を伝える場合、SNSではうまく伝わらないでしょう。そして、今日の様な勉強会などに積極的に足を運ぶことが重要だと思います。たくさんの人と交流を持つと、話が弾んで興味を持ってくれる人も多くなります。その際、名刺や小さなカード等、気軽に情報を共有できるツールを常日頃持ち歩いていると良いと思います。更に、その内容にブログやWEBサイト情報など、「情報を発信している感」を出すことが重要です。そのためにも、最低限WEBサイトやブログは作っておく必要があると思います。

Q.寄付を集めていることはどうやって伝えたら良いですか?

A.「寄付を集めている」ということは言い続けた方が良いと思います。なぜなら、待っていても絶対に寄付は集まらないからです。あなたの活動に共感して寄付したいと思ってくれたのに、寄付をするための情報にアクセスできないことは、「奥ゆかしい」ではなく「不親切」なだけです。目標は社会を変えることで、それに誇りを持っているのですから、もし分かってくれない人がいたとしても全く恥じることはありません。

Q.どんなタイミングで寄付や協力のお願いをするのが良いと思いますか?

A.私は「いつでも」だと思います。課題への共感も大切ですが、人は人に共感する部分もあります。発信している人の姿が、心を動かすかもしれません。話している中で、寄付や協力のお願いをするタイミングがあれば、いつでも良いと思います。

Q.ルックス(若いから信頼されないかも…等)が気になるのですが、どうしたら共感を得られますか?

A.街頭で子どもが募金活動をしていることがあります。子どもだから寄付する・しないではなく、扱う問題に共感して寄付すると思います。このようにルックスは関係ありません。
しかし、表情はとても大事です。怖い顔ではいけません。私たちは、しかめ面で(真剣に)社会課題に取り組んでいるのですが、より楽しく幸せそうな雰囲気で、気難しさや怖さを取り除いていくことで、共感を生みやすくなると思います。

Q.クラウドファンディングについてどう思いますか?

A.クラウドファンディング(以下、CF)したからお金が集まるというものではありません。スタートダッシュを大切にしてください。

  • 元から知っている人に散々言って回る
  • テーマ・目的に合ったCFサイトを探す
  • CFサイトの担当者のアドバイスは有り難く受け入れる

この3つが大事です。「今度やるよ!お願いね!」ということを事前に情報発信をして、待ちきれなくなったところで募集を開始する。それによって最初の数日でお金がたくさん集まると注目され、関心がなかった人の目にも止まりやすくなり、より多くの方が応援してくれる可能性が高まります。

Q.課題への解決策が見えていないのですが、どうしたらいいですか?

A.基本的に多くの方は、色々な課題に気付いていると思います。しかし、社会問題は、当事者が「これは大変だ、助けて欲しい」と気付いて叫び出してから解決策が制度になるまで、10年はかかると言われています。その間は、当事者に代表される市民による活動によって支えられており、課題は見えているが解決策を模索しているという状態が続いていくと思います。
まずは当事者から「声」と「知恵」を出し合い、解決策を考えていくというところからスタートすることで解決に向かっていくものだと思います。

受講者からは講座の内容を深堀りする質問が多く寄せられました
受講者からは講座の内容を深堀りする質問が多く寄せられました

徳永さんよりまとめのメッセージ
「共感を得るために発信し続けよう」

課題が見えてから解決策が制度として整備されるまでには、10年かかると言われています。その間を支えるのは市民活動です。「ファンドレイジング」という言葉も、活動を始めた当初は知っている人がほとんどいないような状態でしたが、10年くらいかけて一般的に知られる言葉になってきました。時間がかかる上に辛い時期もあるかもしれませんが、「発信し続ける」ということを大切に、活動を続けていただきたいと思います。

活動している人は、しばしば「自分への共感」を求めがちですが、本当に共感を呼ぶのは「課題への共感」という点が印象的なお話だったと思います。そして、共感をどうアクションに繋げ、何を意識して行動していけば良いのか、各トピックスの要素が3つずつにまとめられており、受講生がすぐにでも実行できるノウハウをたくさんお話いただきました。また、マイクを使わず聞きやすい声質で語る、WEBサイトを見てもらうために配布資料にQRコードを載せる…など、お話の内容だけでなく講演の様々なところに工夫が凝らされた講座でした。

3分間クラウドファンディング講座を発信中「ファンドレイジング・ラボ


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