【開催レポート】(12/3)文京ミ・ラ・イ対話 第2セッション「解決策を深める」~暮らしやすい文京区を実現する地域力


12月3日、文京ミ・ラ・イ対話の第2セッションとして「暮らしやすい文京区を実現する地域力」を開催しました。2014年度の文京ミ・ラ・イ対話は、年間を通して「地域課題を知る」「解決策を深める」という2つのセッションで議論を深めていきます。今回は「「暮らしやすい文京区を実現する地域力」」をテーマに、第2セッション「解決策を深める」ことを目的に対話を進めていきました。
当日は、文京社会起業アクション・ラーニング講座受講生(以下、「受講生」)を含め文京内外から22名が参加し、テーマごとに受講生の課題認識とその解決策案の発表を基に対話を通して解決策を考えていきました。そして最後に対話で描いた将来像の実現に向け、参加者それぞれが「私はこれをする!」というアクション宣言をしました。

当日のプログラムは以下のとおりです。
1.イントロダクション
・対話の主旨について
・第1セッションの振り返り
2.対話「暮らしやすい文京区を実現する地域力」
〔テーマ1〕「地域の公共空間・施設をもっと人の集う場とするには?」
〔テーマ2〕「地域を元気にするコミュニテイスペースとは?」
〔テーマ3〕「女性がより良く生きるために必要なサポートとは?」
〔テーマ4〕「安心して暮らせる文京区をつくるには?」
:第1セッションの内容と受講生の問題提起から、現象の背景にある地域課題についての理解を深める。
(2)対話2
:テーマについて将来の文京区がどのような状態になったらいいかを描き出し、将来と現状のギャップを埋めるための解決策を考える。
(3)アクション宣言
:対話で描いた将来像の実現に向け、今後実践すべきこと、自分にできることを宣言する。
3.まとめ

写真1 地域  写真2 地域 写真3 地域  写真4 地域

 

1.イントロダクション  

開会にあたり、まず文京区の境野協働推進担当課長が挨拶を行った後、事務局の広石(㈱エンパブリック)が、文京ミ・ラ・イ対話の主旨と第1セッションのまとめ、第2セッションの位置づけについて説明を行いました。第2セッションは、「解決策を深める」をテーマに、前半は受講生がプロジェクト課題に対する課題意識とその解決策について問題提起を行い、その後、各テーマに分かれ、将来の文京区がどのような状態になったらいいかを描き出し、将来と現状のギャップを埋めるために何が必要かについて対話を行いました。最後は、「私のアクション宣言」として対話で描いた将来像の実現に向け、参加者が実践したいアクション内容を発表しました。
今回の参加者の方の中には、区内で防災に関する活動をしている方など、既にアクションを起こしていらっしゃる方も複数おり、ご自身の経験に基づく意見も多く見られました。

2.対話「暮らしやすい文京区を実現する地域力」

文京ミ・ラ・イ対話は、以下の4つのテーマに分かれて対話を進めていきました。
 〔テーマ1〕 「地域の公共空間・施設をもっと人の集う場とするには?」
 〔テーマ2〕 「地域を元気にするコミュニテイスペースとは?」
 〔テーマ3〕  「女性がより良く生きるために必要なサポートとは?」
 〔テーマ4〕 「安心して暮らせる文京区をつくるには?」

〔テーマ1〕「地域の公共空間・施設をもっと人の集う場とするには?」
【受講生からの問題提起】
受講生からは、「植物園を活用したつながり作り」「鍼灸を活用したヘルスサポート」について問題提起がありました。このプロジェクトを実施するためにはそれぞれの公共空間の活用を望んでおり、地域の公共空間・施設をもっと人の集う場所にするというのは、何かのきかっけを通じてコミュニティづくりをすることでもあるが、このコミュニティづくりという一見小さなことも、具体的に進めようとすると難しさがあるように思うという認識が発表されました。

【参加者の課題意識】
受講生からの問題提起を受けて、参加者からは公共空間・施設というハードの話ではなく、人というソフトが重要なのであり、そして、その「人の情報」が共有されていないところに課題があるといった意見が出されました。

【解決策】
前半での課題意識を踏まえ、理想の文京区のミ・ラ・イを話し合いました。その中で、介護される人をサポートするという視点だけでなく、介護する人をサポートする視点も重要であり、介護する人たちの憩いの場所が必要であるとのことで、たとえば、区役所のスペースを有効活用し、人々が安心して訪問できる場所を設けたいといったアイデアや、ヒューマンライブラリーという活動が日本でも広がりつつあるので(人がまるで本になったように、自分の経験を語るというもの)、介護する人が自分の経験を語ることで、介護者同士が経験を共有する場ができるとよいというアイデアが挙げられました。また、文京区はアカデミックな人が集まっているエリアであるため、この地域特性を活かして専門家と地域の人をつなぐことができるのかもしれない。そういった意味で、植物園で地域の人が集まり、専門家から植物を学ぶなどもよいのではないかというアイデアも出されました。
また、人が集いつながるためには単に場所があるだけではだめで、趣味を究める場所があってもよいのかもしれない。料理、ラジオ体操、ダンス、マージャンなど。また多様な年齢層が集まる「ご近所託児所」のようなものがあってもよいのではないかといったアイデアも出されました。

〔テーマ2〕「地域を元気にするコミュニテイスペースとは?」

【受講生からの問題提起】
受講生からは、「地域にコミュニティスペースを作りたいが、どのような機能を持つべきか、または集いやすくするためにはどうすべきか」といった問題提起がされました。

【参加者の課題意識】
受講生からの問題提起を受けて、参加者からは、まずは地域にある課題として、地域の人とのつながりがないという課題が挙げられました。これについては、仕事が終わってから家に帰るだけだと、商店街もなかなか行かず、人との繋がりが難しくなる、また、子どもを通じた子どもがいない人はなかなか地域には入れるチャンスがないことが背景にあるとされました。また、一方で、昔からその場(地域)に住んでいても、何かきっかけがないとコミュニティに入れないことが多いことが課題とされました。
さらに、地域の人がやりたいことをすぐにできる環境にないことも課題として挙げられました。たとえば「生涯学習の講師としてやりたいけどなかなか実現できない」などですが、これについては、場所を確保するのに時間がかかる、またはお金がかかるから場所がつかえない、集客で苦労しているといったことが背景にあるとされました。ただ、集客で苦労をするのは、場所のせいだけとは一概にはいえず、コンテンツなどの問題や情報発信などの難しさもあるのではないかといった意見も出されました。

【解決策】
前半での課題意識を踏まえ、後半では理想の文京区のミ・ラ・イを話し合いました。「一人ひとりが働ける場所」があることで、たとえば、自分の経験をアウトプットできるカフェや、カフェでも日替わりでチーフが変わるなどが挙げられました。特に日替わりチーフについては、このような工夫をすることで提供サービスの幅も広がり、かつ関われる人が増えるおもしろいアイデアであると評価されていました。
また、人とつながるといった意味では、相談に乗ってくれるような仕掛けやゆるいつながり(何かあれば声をかけあえるような場を作ることが必要であるとされ、たとえば、おばあちゃんの知恵袋のような人に相談したり、家族の替わりにお正月を過ごせる人をつくる、一人でも複数でも安心していられる場所を作ってはどうかというアイデアが出されました。
既に、このテーブルの受講生はコミュニティカフェを作ることを決めており、これらのディスカッションがより具体的に進めるヒントとなったようでした。

〔テーマ3〕「女性がより良く生きるために必要なサポートとは?」

【受講生からの問題提起】
ALPの受講生からは、「10代の女の子が、TVや雑誌の影響により固定化された過度な美意識のため、拒食症などに陥り健康を害することや、正しい性知識がないため傷つくことがあるのではないか」「子育てに一段落した中高年の女性の社会復帰をサポートする仕組みがない」という問題提起がありました。どちらも、あまり公的サービスなどの対象とならない層であるといえます。

【参加者の課題意識】
受講生からの問題提起を受けて、参加者からは、なぜ10代の子たちが刷り込まれたイメージに固執するのかといったことが議論されました。これらの背景には、マスコミ等で作られた価値観が唯一と思ってしまう傾向が中高生の中にあり、様々な美しさや価値観、個性を認め合うことができていないこと、強いては自分に自信のない子が多く、どうしても、一般的な価値観に自分を近づけてしまうのではないかということが挙げられました。また、正しい性知識については、家庭内や学校で正しく教えられる機会がなく、これが課題とされました。
さらに中高年女性の職業復帰サポートについては、そもそもこれらの世代の時代的背景によるITスキルの低さなども原因にある、または、それほど困窮している層ではないため、支援の対象となりにくいといったことが挙げられました。また、職業復帰を中高年の女性が望む理由の一つとして、金銭的な問題もあり、これについては、ライフステージごとにどのくらいのお金が必要かといったマネープランを作ったり、それを学ぶ機会がないことがそもそもの課題であるとされました。また、女性がライフステージに関わらず就業を継続できる職場環境やサポートがないことも課題ではないかと指摘されました。

【解決策】
前半での課題意識を踏まえ、後半では理想の文京区のミ・ラ・イとして、「中高生に健康的な美意識をつける」「幼少期に与える人形に見られるような刷り込みをやめるため、それぞれの個性が際立つおもちゃを開発する」「第3者(助産師、産婦人科医)を学校に派遣し、正しい健康や性の知識をレクチャーしてもらう」「中高年の人専用の就職サイトをつくる」「そもそも女性が退職しないですむようにナニーなど働く女性をサポートする職業のレベルアップ、充実をはかる」「お金などの問題を話し合えるまたは学べる場を提供する」などの具体的なアイデアが出されました。
また、こうしたアイデアを実現するには、たとえば、学校現場に新しい健康、お金、性教育などのプログラムなどを入れることは学校サイドの負担にもなるので、第3者の専門家と学校、企業と学校などをマッチング・コーディネートするような人が必要であるとされました。

〔テーマ4〕 「安心して暮らせる文京区をつくるには?」

【受講生からの問題提起】
受講生からは、「3.11直後は避難袋を備えたが、それからしばらく経って水や食料を取り替え時期になっても取り替えない等、防災意識の薄れが見られる。」「高齢者の一人暮らしの増加や空き家の増加が防災の視点から見ると危険性が高い。」という問題提起がありました。

【参加者の課題意識】
受講生の発表を受けて、安心して暮らせる文京区を作るにあたって課題として「日ごろの地域との関係性が弱いことで、地域でどこが危ない、誰が一人で逃げられない状態かなどをつかむことができない。そうした対応力の弱さによって、非常時に備えられなくなっている」「情報が更新されないため、何かが起きた時に古い情報に頼ることとなり、前は通れた道が通れなくなっていて逃げられなかったということが起きるかもしれない」ということが挙げられました。

【解決策】
前半での課題意識を踏まえ、ミ・ラ・イの安心して暮らせる文京区とはどのようなものなのか、ということをグループの皆で考え、大きく3つの案にまとめられました。
一つは「地域の人がつながっているという日常的な関係が作ること」です。そのために、向こう3軒両隣の人と顔見知りになる、非常食グルメ大会を行う、都内大学で救助運動会を行うなどの案が出されました。二つ目は「場やツールが日常的に有効に使われていること」です。それを実現するために、分かりやすい防災マニュアルと日常的に使えるようなハザードマップを配布する、今自分がどこにいるかが分かるよう目印となるような看板等を設置するなどの案が出ました。三つめは、区と区の境目に住んでいると実は隣の区の方が避難路として近かったという可能もあるため「情報を区内外で共有すること」です。「各地の避難所が今何を必要としているのか」(必要ないものが来ると余ってしまうため)を把握する必要があることも挙げられました。
以上三つのミ・ラ・イを実現するにあたって、「行政が何かやってくれる」という意識が強すぎる(実際には行政の人も被災者である。)という点や、「町内と関わるのが面倒」という気持ちがある人が多いという点が課題として出されました。そうした課題の解決策として「組織をベースに考えて、リーダーや行政の人が来るまで待つというのではなく、避難所に着いた人から行動していいという風にした方がいい」「「行政の人は亡くなった方の対応を主にしているのだから、せめて生きている自分たちのことは自分たちでやろう」という行動しなくてはならない」「めんどうくさがる人を外へ出すお節介役を引き受ける」といったアイデアが出されました。

3.アクション宣言

以上のディスカッションを終えて、参加者各自が取り組みたいことの「アクション宣言」としては以下のものが挙げられました。

・植物園の思い出リレートークのHPをつくる・植物園に行ってみる
・こまじいの家のようなご近所の人の集まれる場所をつくる
・コミュニティの茶室をつくる
・人が集まりやすい場所に介護経験者が語る勉強会を作り、支える立場の人をせん灸というツールを使って心身ともにケアする
・ニーズを拾い出し、提供してくれる人を探すコーディネート力をつける
・商店街の人を紹介する仕組みを作る
・商店街の人たちと、外部の人たちの「学び合い」の場となるよう、汗を流して繋がりを広げていきます。
・親も学校も信頼して委託できる外部機関(コーディネーター)をつくる
・お金の教育を普及する
・当事者意識をもって話せるようにする
・お金や家族、パートナーのことを話せる場をつくる
・町内の空き家と一人暮の人(世帯)について、近所の店舗の人と町会長の人にヒアリングしてみる
・12/16(火)災福カフェ、12/23(祝)首都直下地震と本郷フォーラム、1/29(土)文京の弱みを強さに変えるFuture Sessionなど具体的に実施する
・イノベーターのみなさんの提案・解決策の見える化、情報の共有・対話・公開→実現支援
・コミュニケーションボードwith地図
・情報と活動と現実可能な行動という状態に自分を持っていき、現実的行動として努力する

4.まとめ 

今回のミ・ラ・イ対話関するアンケート結果から、対話のグループセッションを経て、参加者の方が比較的高い満足度を得ていたことが分かりました。また、参加者からは今回のテーマについて沢山の意見が出されました。「今後地域の中で、身近な人に声をかけてみたい」「HPを作って皆さんの意見を聞いてみたい」というように、周りの人の意見をまずは聞いて、地域のコミュニティへ入り込んでいきたいという声が多くみられた他、「各々の背景で考える角度・切り口は違うけれども解決したい根本の問題は共通している」というように、課題意識への共感を強く実感した声も見られました。また、対話そのものについて、「議論をすることで自分では課題意識を持っていなかったことに対しても興味を持てるようになると感じた」というご感想もありました。

写真5 地域  写真6 地域 写真7 地域

〔参加者の声〕
・議論をすることで自分では課題意識を持っていなかったことに対しても興味を持てるようになると感じました。
・各々の背景で考える角度・切り方は違うけれども解決したい根本の問題は共通しているということがわかりました。
・防災の視点で空き家を考えることを進めたいですが、対話に参加してみて、共感して下さる人が必ずいることを実感しました。
・公的機関を核になにかできないかと思っていたとろ地域の人から、その歴史や出来事を聞くことができて有益でした。

2/11(水・祝)には、今回、問題提起をした受講生などによる、地域の課題解決のアイデアやプランを発表する社会起業フェスタを開催します。今年のテーマは「いいね!から、街の仲間をつくろう!」 です。
今回提起された課題や受講生のプロジェクトにご興味のある方、地域で自分のスキルを活かして何か活動をしてみたい方など、どうぞお気軽にご参加ください。また、阿佐谷で、「おたがいさま食堂」などの活動をしている齊藤志野歩さんや、慶応大学准教授の井上英之さん、成澤文京区長よるシンポジウムもあります。詳細はこちらをご覧ください。


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