【開催レポート】(10/1)文京ミ・ラ・イ対話 第1セッション「暮らしやすい文京区を実現する地域力」


10月1日、文京ミ・ラ・イ対話の第1セッョンとして、「暮らしやすい文京区を実現する地域力」を開催しました。2014年度の文京ミ・ラ・イ対話は、年間を通して「地域課題を知る」「解決策を深める」という2つのセッションで議論を深めていきます。今回は「暮らしやすい文京区を実現する地域力」をテーマに地域課題を知る対話を行いました。

当日は、区内外から35名が参加し、ゲストが取り組む先進事例や、区の現状と取組みについてお話を聞いた後、テーブル毎にそれぞれの参加者の視点で捉えた地域課題について話し合い、課題を共有しました。当日のプログラムは以下のとおりです。

1.イントロダクション

・対話の主旨について
2.ゲスト・トーク
・森記念財団 礒井 純充 氏「六本木ヒルズからまちライブラリーへ」
3.文京区の現状と取り組み紹介
・安全で安心な街づくり(総務部)
・商店街の利用促進について(区民部)
・2020東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げるための方策について(アカデミー推進部)
・地域支援事業における多様な担い手の創出(福祉部)
4.対話「まちで健やかに子どもが育つ文京区をつくるには?」
<テーブルテーマ>
【テーマ1】安全で安心なまちを実現するには?
【テーマ2】利用したくなる商店街はどんなもの?
【テーマ3】東京2020オリンピック・パラリンピックを盛り上げるために区民のできることは?
【テーマ4】高齢者が安心して暮らせるための支援は何がある?
5.まとめ

1.イントロダクション

開会に当たり、まず文京区の境野協働推進担当課長が挨拶を行った後、事務局の広石(㈱エンパブリック)が、文京ミ・ラ・イ対話の主旨と第1セッションの位置づけについて説明を行いました。第1セッションは、「地域課題を知る」をテーマに、重点テーマに関連する社会課題に実践的に取り組むゲストのお話や、区職員から文京区の現状と取り組みについて紹介を行った上で、文京区のより良い未来をつくるために取り組むべき課題は何かを、共に考えました。

今回の対話の場には、商店街の人、これから活動を立ち上げる人、ボランティア活動に取り組む人、会社員など多様な人たちが参加しました。また、参加者の年齢層も10代〜50代と幅広く、世代を超えた対話の場が生まれました。

P1130972 P1130992

 2.ゲスト・トーク
「六本木ヒルズからまちライブラリーへ」

ゲストは、メッセージつきの本を通して人と出会う図書館「まちライブラリー」に取り組んでいる森記念財団の礒井さんにお話いただきました。磯井さんは、かつて、森ビルで教育事業を担当し、六本木ヒルズで会員制ライブラリーを立ち上げました。当初、会員数は30人程度でしたが、事業として急成長し会員が増えると、次第に「顔の見える関係性」が失われていったそうです。「六本木ヒルズの会員制スクールでは勉強しても忘れてしまう。本来、人と人は、一方が情報を発信しそれを受け取る関係にとどまらず、情報交換する関係性にあります。まちライブラリーは、小さなメッセージカードをつけて図書館に本を寄贈し、その本を読んだ人も感想をメッセージカードに書き込んでいく。そんな図書館を、お寺やお店など街中に展開していったらどうなるだろうか」という発想から始まったそうです。

まちライブラリーでは、本を持ち寄ってカタリストに語ってもらった後、参加者同士で自由に対話し、最後は食事をしながらつながる方法を取り入れています。それを、カフェ、お寺、商店街、大型ショッピングモール、個人の家などのほかに、山の中でバーベキューしながら語ったり、病院の透析センターで患者さんと医療スタッフのコミュニケーションを目的に設置したりと展開していった結果、113箇所になりました。これら全てに、ご自身が関与されたのではなく、話を聞いた人が自ら始めたそうです。

大阪府立大学のサテライトキャンパスにおいては、廊下に本棚をつくり、蔵書0冊からの図書館をつくるプロジェクトとして、様々なテーマで語れるワークショップを連日開催した結果、500冊の本が集まりました。まちライブラリーのメンバーになると、部屋を使ってイベントができる代わりに本棚の一角をつくらなければなりません。今では、7000冊が寄贈され、年間300回のイベントが開催されるようになり、一人の常設スタッフが担当しています。このシステムは、グッドデザイン賞として表彰もされました。

今の社会では、企業、大学、病院、図書館、行政も様々なサービスを提供していますが、それは過剰なサービスの場合があります。サービスの利用者が集まり意見を言える機会があり、サービス提供者と双方向の関係性をつくることが必要ではないか。そうすると‘まちに生きる’という実感を持つことができるのではないだろうか。

「まちライブラリーが目指すことは、酵母菌である一人ひとりが自立して発酵し、お互いに影響し合ったら、いいまちになっていくのではないか。本をきっかけに、会話が生まれ、深まっていく。そういうツールとして本を活用してみてはどうでしょうか。」という提案で締めくくられました。

おもしろいと思ったら、半歩進もう!

最後に、やってみたいことはあるけど、どう一歩を踏み出したらいいのかわからない方に磯井さんからメッセージをいただきました。
「やる価値があるか無いかで考えがちだけど、地域活動をやる時には、自分にとって面白いか面白くないかで考えるべきだと思います。面白いと思ったら飛びつくべきだし、半歩進んでみてください。後先を考えてはいけない。自分のやれることだけをやればいい。まちの中で元気に何かをやっている人がいるまちは、何かをやろうとする人にはやりやすい。我が事と思える人をどうつくっていくのか、興味本位で動く人が集まってくるまちは、おもしろいことができるような気がする。

P1130978_edited P1130985

3.文京区の現状と取り組み紹介

ゲストトークの後は、区の職員から文京区の現状と取り組みについて紹介しました。

安全で安心な街づくり(総務部)

安全で安心な街づくり」総務部危機管理課 和久本さん

和久本さんからは、条例に基づく推進地区における取り組みのほか、子どもや高齢者に対する犯罪、空き家問題の取り組み等について紹介がありました。文京区は刑法犯の認知件数が過去3か年、毎年減少しており、23区でも一番少ない状況にありますが、警察署や町会など地域活動団体等との連携を強化し、犯罪件数の減少に努めています。

また、老朽化して管理不全の状態にある空き家の問題について、区内で空き家調査を行ったところ140軒を把握しましたが、所有者までたどり着く事が難しいのが現状です。今年度から200万円を上限に空き家除却費用を助成し、その後、区が10年間無償で借り受ける空き家対策事業を始めましたが、この問題についてどう取り組んでいくかについても、まだ課題が残っている状況です。

P1130989

 

「商店街の利用促進について」区民部経済課 有賀さん

有賀さんからは、区内商店街の状況や商店街支援の取り組み等につい紹介がありました。区内には57か所の商店街があります。商店街ではさまざまなイベントやお祭りを開催していますが、参加している人は15%と認知度が低い状況です。最近ではミニスーパーが増えて、深夜・土日営業のため、日中働いている方々には利用しやすい面もありますが、品質でみると商店街の方が勝っていることも多く、それを理由に商店街を利用する人もいます。品質、価格、時間帯、種類、サービスなど、商店街に求めるモノは何なのかを参加者に問いかけました。

P1130994

 

2020東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げるための方策について」アカデミー推進部アカデミー推進課 山本さん

山本さんからは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた組織体制と区としての取り組み目標について紹介がありました。区内には、競技施設がないため取り組みの重点ポイントとして「気運醸成」「おもてなし」「ボランティア」をあげています。まずは、一人ひとりの足元から考え、やってみたいことなどみなさんの意見を聞かせていただきたいと参加者に問いかけました。

P1130996

「地域支援事業における多様な担い手の創出」福祉部認知症・地域包括ケア担当 多田さん

多田さんからは、区内の高齢者の現状と、介護保険制度の変更等についての紹介がりました。今後、介護保険制度が変わり、自治体ごとにルールや仕組みを設け、サービスの担い手もプロだけでなく多様な主体を活用するようになります。65歳以上の高齢者数は、2025年には3657万人、そのうち認知症の方は470万人、文京区では6000人と予想されています。今後、だれもが認知症に関わる社会がやってくるのです。超高齢化社会に向けて、生き方を切り拓く必要があります。地域全体で多様な主体がサービスを提供していくために、生活支援コーディネーターを設置したり、地域ケア会議という個別ケースから地域課題を検討したりする取り組みなども行います。サービスを提供する際に、どういう視点が必要なのか、皆さんと一緒に考えていきたいと参加者に問いかけました。

P1130999

4.対話「まちで健やかに子どもが育つ文京区をつくるには?」

文京ミ・ラ・イ対話の後半は、ゲストと区職員を交えたワールドカフェ形式の対話の場、今回は5つのテーブルテーマについて、グループセッションを3回行い、対話を進めていきました。

IMG_1174_edited

【テーマ1】安全で安心なまちを実現するには?

「グループセッションで出された主な意見」

  • ラジオ体操などの機会を重ねていくと、関係性ができてくる。顔の見える関係性をつくることが大切。
  • 一方で、つながりたくない、知り合いたくないという人もいる。文京区は医療へのアクセスが良いため高齢者の移住が多い。そういう人は町会にも参加しないので、どう巻き込んでいくかが課題。
  • 要支援者に該当する人たちは、登録して安心している人が多い。しかし、町会でリストを持っている人が高齢化しており、実際に助けに行こうとしても顔を知らないため助けることが難しい。
  • 障害者にとっては、歩道と車道の間にある縁石がとても大事。ハード面を整備する上で、どんな人にとっても安全で安心なまちにする必要がある。

【テーマ2】利用したくなる商店街はどんなもの?

「グループセッションで出された主な意見」

  • 差別化として相談できるお店、スーパーにない商品のラインナップ、メニューを教えてくれるなど、個性を出す必要がある。
  • 大きなイベントなどの企画に目がいきがちだが、実はそんなに重要でない。理由は、単発的な物はそのとき盛り上がるが、継続的な集客に繋がらないから。
  • 商店街の情報(販売しているもの、提供しているサービス、店主の情報)を顧客は知らないので、情報を発信していけばいいのではないか。
  • 商店に入るのにハードルを感じている。身内だけが入れる感があると、よそ者(新しく来た人)はハードルを感じる。
  • そのお店しか無い変わりダネ!など新しい物があると行きやすくなる。

 【テーマ3】東京2020オリンピック・パラリンピックを盛り上げるために区民のできることは?

「グループセッションで出された主な意見」

  • 例えば、医療について専門知識を持っている人のボランティアがあるとよいのではないか
  • 企業としてスポーツボランティアの観点から、関わることができればと考えている。
  • ウェブの地図より、看板の地図の方が観光客にわかりやすいかもしれないので、看板の地図を多く作っておく必要がある。
  • 高齢者の方が、東京オリンピックの話を若い人に聞かせるようなことができればよい。

【テーマ4】高齢者が安心して暮らせるための支援は何があるか?

「グループセッションで出された主な意見」

  • 高齢者の方へ「ちょっとしたお手伝い」をしたいが、そのきかっけづくりが難しい。
  • 高齢者の移住も多い。まずはマンション内の茶話会などに参加することで、交流ができる。
  • 本当に高齢者の方が困っていることや問題と思っていることが色々な人に共有されていない。
  • 電気屋さんなど家庭に入りこむ業態の方との連携で、見守りの仕組みができるのではないか。
  • 地域というより、趣味でつながることも可能性としてはある(ガーデニング、犬、子ども、映画、音楽、ラジオ体操など)。こうした取り組みで、高齢者の方にご参加いただくには、定期開催が必要である。

 【テーマ5】地域力を高める活動とは?

「グループセッションで出された主な意見」

  • 文京区には、生活と仕事の場が異なる人が多いため、地域へ目を向けない人も多い。
  • 「愛着」があることは、地域の力になると思う。
  • それぞれの持つ力を活用すれば、小さな手助けができる。小さな手助けが、小さなつながりとなり、それが重なり地域のつながりとなるのではないか。
  • 地域で何かしたくても、だれとコンタクトを取ればよいのかわからない。
  • 単に人が集まればつながりができるものとは違う。集まる場がなくても、支え合う仕組みがあればいいのではないか。

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

5.まとめ

対話のグループセッションを経て、参加者から沢山の意見が出されました。また、以下のような感想も寄せられました。

  • 100人いれば100通りの人がいて、良くしようとしていることに対して、必要ないという人もいる。商店街でがんばっている人は高齢者しかいない。地域にいる人にどう参画してもらうのかを考えていかなければならないと改めて思いました。
  • 小さいコミュニティがたくさん生まれることが地域力を高めることになると思います。手段は絵本でもスポーツでも何でもいいので、やりたいことをベースにコミュニティができてつながっていくと、楽しく住みやすい地域が作れるのではないかと思います。
  • 企業市民として参加しましたが、地域に根ざした活動をどのようにしていくのかを考えているところでした。、色々な方と話し合いをして、いい街を作っていけたらいいなと思います。

また、ゲストの礒井さんからは、対話の後の感想として以下のコメントをいただきました。

「対話でおもしろかったと刺激受けても立ち止まっていたらゼロです。半歩前に行くことが大切。右脳でパッと動く癖をつけてほしい。一人が発酵し始めると菌は繁殖しはじめると思うので、この会をそういう機会にして欲しい。」

次回の文京ミ・ラ・イ対話は以下の日程で開催します。

<第2セッション「解決策を深める」>
11/30()14:0016:30「まちで健やかに子どもが育つ文京区」
12/ 3()18:4521:00「暮らしやすい文京区を実現する地域力」

 

 

 


Check Also

【開催レポート】ファシリテーター養成コース

活動支援コーディネーター養成講 …